寝台列車



寝台列車とは夜行列車のうち、寝台設備を備えた寝台車で構成される列車をいう。
寝台列車のうち、特急列車として運転される列車を特に“寝台特急”という。
一般的には客車を寝台車として機関車が牽引する形が一般的であるが、
一部には寝台設備を有する電車が充当されることもある。
かつては日本全国に多くの寝台列車が走っていたが、最近では年々減少しており、
国鉄分割民営化以降、JRによって寝台車両が製造されたのは、
E26系客車「カシオペア」と285系直流電車「サンライズエクスプレス」の2系列のみである。

 北斗星 ほくとせい

上野から札幌を結ぶ寝台特急で、使用客車車両は尾久車両センター及び札幌運転所所属の24系25形、
牽引機は上野−青森EF510型500番台電気機関車、青森−函館間はED79型電気機関車、函館−札幌間はDD51型ディーゼル機関車重連である。
経由線区は東北本線、いわて銀河鉄道線、青い森鉄道線、津軽海峡線、函館本線、室蘭本線、千歳線である。
青函トンネルが開通した1988年3月13日に東京と北海道を結ぶ列車として運転を開始、
走行距離 1,214.7 kmであり、臨時扱いの「トワイライトエクスプレス」を除くと現在最長距離を誇る列車である。
食堂車「グランシャリオ」を連結し、シャワールームも完備、また個室のうち「ロイヤル」には部屋にシャワールームを完備している。
運転開始当時は定期2便、不定期1便で開始、翌年3便体制となった。
1999年7月16日に「カシオペア」が運転開始されたことから2便体制に移行、
2008年3月15日に青函トンネルの新幹線工事時間帯の確保のために1便体制に移行した。

24系25形
「北斗星」

 エルム えるむ 現・廃止

上野から札幌を結ぶ寝台特急「北斗星」を補完する臨時寝台特急で、使用客車車両は尾久車両センター及び札幌運転所所属の24系25形、
牽引機は上野−青森E81型電気機関車、青森−函館間はED79型電気機関車、函館−札幌間はDD51型ディーゼル機関車重連である。
経由線区は東北本線、いわて銀河鉄道線、青い森鉄道線、津軽海峡線、函館本線、室蘭本線、千歳線である。
1989年7月21日から運転された多客期に「北斗星」を補完する臨時列車で、
「北斗星」に連結されている食堂車や個室は連結されておらず、開放B寝台のみを連結していた。
列車の愛称名は北海道に生える樹木のニレ科の樹の総称である「エルム」より命名された。
2007年の夏を最後に寝台特急「エルム」は廃止された。

24系25形
「エルム」

 カシオペア かしおぺあ

上野から札幌を結ぶ寝台特急で、使用客車車両はJR東日本が新造した尾久車両センター所属のE26系、
牽引機は上野−青森EF510型500番台電気機関車、青森−函館間はED79型電気機関車、函館−札幌間はDD51型ディーゼル機関車重連である。
経由線区は東北本線、いわて銀河鉄道線、青い森鉄道線、津軽海峡線、函館本線、室蘭本線、千歳線である。
上野から札幌を結ぶ3便体制の「北斗星」の1便を置き換えて1999年7月16日に誕生した。
使用客車が1編成しかないために原則として下り上野発は火、金、日曜日、札幌発上りは月、水、土曜日に運航される臨時列車扱いとなっている。

E26系
「カシオペア」

 北陸 ほくりく 現・廃止

上野から金沢を結ぶ寝台特急で、使用客車車両は尾久車両センター所属の14系、
牽引機は上野−長岡間はEF64型1000番台電気機関車、長岡−金沢間はEF81型電気機関車である。
経由線区は東北本線、高崎線、上越線、信越本線、北陸本線である。
昼行列車として運転されていた「北陸」が戦後の1948年7月にに夜行急行として登場、
1950年11月に「北陸」の名が与えられ、夜行急行「黒部」を吸収して2便体制になったが、
「北陸2号」は後に「能登」となって485系を使用した座席夜行急行となった。
利用客の減少や使用客車の老朽化を理由に2010年3月のダイヤ改正で「能登」ともに廃止された。

14系
「北陸」

 さくら さくら 現・廃止

東京から長崎までを結ぶ寝台特急で、使用客車車両は長崎鉄道事業部長崎運輸センター所属の14系、
牽引機は東京−下関間はEF66型電気機関車、下関−門司間はEF81型電気機関車、門司−長崎間はED76型電気機関車である。
経由線区は東海道本線、山陽本線、鹿児島本線、長崎本線であり、東京−門司間は寝台特急「はやぶさ」と連結して運行される。
戦前から運行されていた東京−下関間の特別急行で「櫻」の愛称が使われていたが、
寝台特急としての「さくら」は東京−長崎間で1959年から運行され始めた。
2005年3月1日に寝台特急「さくら」が廃止され、「はやぶさ」は東京−大分間の寝台特急「富士」と連結運転されるようになった。

14系・14系15形
「さくら」

 はやぶさ はやぶさ 現・廃止

東京から熊本までを結ぶ寝台特急で、使用客車車両は熊本鉄道事業部熊本車両センター所属の14系、
牽引機は東京−下関間はEF66型電気機関車、下関−門司間はEF81型電気機関車、門司−熊本間はED76型電気機関車である。
経由線区は東海道本線、山陽本線、鹿児島本線である。
1942年11月15日に関門トンネルが開通し、本州と九州を結ぶ列車が開設され、
1958年10月1日に「はやぶさ」の名称で東京から鹿児島を結ぶ夜行列車が誕生した。
1999年12月4日から寝台特急「さくら」と東京−鳥栖間を連結運転、
2005年3月1日に寝台特急「さくら」が廃止されると東京−門司間を寝台特急「富士」と連結運転を開始した。
しかし利用客減少や客車の老朽化などから2009年3月13日に連結運転する「富士」とともに廃止された。

14系
寝台車「はやぶさ」

 富士 ふじ 現・廃止

東京から大分までを結ぶ寝台特急で、使用客車車両は熊本鉄道事業部熊本車両センター所属の14系、
牽引機は東京−下関間はEF66型電気機関車、下関−門司間はEF81型電気機関車、門司−熊本間はED76型電気機関車である。
経由線区は東海道本線、山陽本線、鹿児島本線、日豊本線である。
愛称名の「富士」は1929年6月15日から使われているが、東京と日豊本線を結ぶ寝台特急に使われ始めたのは、
東海道新幹線の開業によって昼行列車「富士」の廃止により夜行列車に委譲された1964年4月24日からである。
1965年10月1日に西鹿児島(現・鹿児島中央)まで延伸されたが、1980年10月には宮崎、1990年3月には南宮崎まで短縮、
1997年11月29日に大分まで短縮された。
2005年3月1日に寝台特急「さくら」が廃止によって東京−門司間を寝台特急「はやぶさ」と連結運転を開始した。
しかし利用客減少や客車の老朽化などから2009年3月13日に連結運転する「はやぶさ」とともに廃止された。

14系・14系15形
「富士」

 あさかぜ あさかぜ 現・廃止

東京から下関までを結ぶ寝台特急で、使用客車車両は下関地域鉄道部下関車両管理室所属の24系、
牽引機はEF66型電気機関車であり、経由線区は東海道本線、山陽本線である。
1956年11月19日、戦後初の夜行特急列車として「あさかぜ」が登場、この時は東京−博多間で運行された。
東京−広島間での増結や翌年には「あさかぜ」を補完する形で「さちかぜ」も登場するなど利用客も多く、
1968年10月1日には臨時列車を定期化して2便体制に移行、1970年10月1日には「安芸」を格上げして3便体制に移行する。
しかし1975年3月10日山陽新幹線が全通すると2便体制に減便、
1994年12月3日のダイヤ改正から定期の博多までの乗り入れを中止し下関止まりとなり、博多までの1便を臨時列車に格下げ、
2000年12月には臨時の「あさかぜ」を廃止され、下関までの1便のみとなる。
しかし利用客減少や客車の老朽化などから2005年3月1日に連結運転する「はやぶさ」とともに廃止された。

24系25形
「あさかぜ」

日本海 にほんかい 現・廃止

大阪から青森までを結ぶ寝台特急で、使用客車車両は青森車両センター所属の24系、
牽引機はEF81型電気機関車であり、経由線区は東海道本線、湖西線、北陸本線、信越本線、羽越本線。、奥羽本線である。
大阪から青森を結ぶ列車は1947年7月に急行として運行されたのが最初で、1950年11月から「日本海」の愛称が使われ始める。
1968年10月1日、この列車は「きたぐに」に愛称変更され、新たに寝台特急としての「日本海」が大阪から青森までの間に誕生した。
後に2便体制になり、青函トンネル開業後はJR西日本が管理する1号、4号が大阪−函館間に変更された。
しかしA寝台に個室がないことや車両の老朽化などから利用客が減少し、
2006年3月18日には再び1号、4号が大阪−青森に短縮、2008年3月15日には2号、3号が廃止、JR東日本は継続して運行。
2012年3月17日には定期列車としての「日本海」は廃止され、臨時列車として多客期のみの運行となった。

24系25形
「日本海」

なは なは 現・廃止

京都から熊本までを結ぶ寝台特急で、使用客車車両は熊本鉄道事業部熊本車両センター所属の24系、
牽引機は京都−下関間がEF66型電気機関車、下関−門司間はEF81型400番台電気機関車、門司−熊本間はED76型電気機関車であり、
経由線区は東海道本線、山陽本線、鹿児島本線である。
愛称名としての「なは」は1968年10月に誕生した新大阪−西鹿児島(現・鹿児島中央)間の昼行気動車特急に敷設されたのが始まりで、
1973年10月に電車化、山陽新幹線が全通した1975年3月に夜行寝台列車化した。
2004年3月に九州新幹線が部分開業したことにより、区間を京都−熊本間に変更、京都−鳥栖間で「あかつき」と連結運転されることとなった。
しかし利用客減少や客車の老朽化などから2008年3月15日に連結する「あかつき」とともに廃止された。

24系25形
「なは」

銀河 ぎんが 現・廃止

東京こから大阪までを結ぶ寝台急行で、使用客車車両は宮原総合運転所所属の24系、
牽引機はEF65型1000番台電気機関車であり、経由線区は東海道本線である。
1947年6月に東京と大阪を結ぶ急行が設定され、1949年9月より3往復体制になり、
1950年10月1日のダイヤ改正で「銀河」、「明星」、「彗星」などの愛称が誕生、
1968年10月1日に「明星」が銀河に統合、「銀河」が2往復体制となる。
1975年3月10日のダイヤ改正で1往復が廃止、2008年3月15日には残った列車も廃止された。

24系25形
「銀河」

あけぼの あけぼの

上野から青森までを結ぶ寝台特急で、使用客車車両は青森車両センター所属の24系、
牽引機は上野−長岡間がEF64型1000番台電気機関車、長岡−青森間はEF81型電気機関車であり、
経由線区は東北本線、高崎線、上越線、信越本線、羽越本線、奥羽本線である。
1970年7月1日に上野から秋田を結ぶ臨時寝台特急として「あけぼの」が誕生、同年10月1日には定期化、
1973年10月には2往復に増発、1982年11月には3往復に増発した。
しかし1988年3月の青函トンネル開業により「北斗星」が誕生すると車両捻出のために1往復を廃止して2往復に減便、
1996年には1往復に減便されたが、現在も秋田経由で青森に至る寝台特急として現存している。

24系25形
「あけぼの」

出雲 いずも 現・廃止

東京から出雲市までを結ぶ寝台特急で、使用客車車両は尾久車両センター所属の24系、
牽引機はEF65型1000番台電気機関車、DD51形ディーゼル機関車であり、経由線区は東海道本線、山陰本線である。
1928年12月に誕生した大阪から米子を福知山経由で運転を開始した準急がルーツであり、
1935年3月に急行に格上げ、出雲今市(現・出雲市)から大社線に直通して大社まで運転された。
太平洋戦争の激化で一度運転が取りやめられたが戦後に復活、1951年には東京に乗り入れ、
1978年10月からは発着駅を出雲市として2往復化された。
しかし1988年7月から2往復中の1往復を伯備線経由の285系直流寝台電車使用の「サンライズ出雲」に変更、
その後も福知山線経由の「出雲」と伯備線経由の「サンライズ出雲」の2本態性が続いたが、
しかし利用客減少や客車の老朽化などから2006年3月にブルートレインの「出雲」は廃止され、
直流寝台電車285系使用の「サンライズ出雲」のみが運行を続けている。

24系25形
「出雲」

 あかつき あかつき 現・廃止

京都から長崎までを結ぶ寝台特急で、使用客車車両は熊本鉄道事業部熊本車両センター所属の14系、
牽引機は京都−下関間はEF66型電気機関車、下関−門司間はEF81型電気機関車、門司−長崎間はED76型電気機関車である。
経由線区は東海道本線、山陽本線、鹿児島本線、長崎本線である。
1965年10月1日に新大阪から西鹿児島(現・鹿児島中央)、長崎間で運転を開始、
その後増発を繰り返し、近畿圏から九州方面の寝台特急の総称として最盛期には7往復にまで至ったが、
1975年3月の山陽新幹線全通により熊本、鹿児島方面を「彗星」、長崎、佐世保方面を「あかつき」に系統分割、
そのため「あかつき」は3往復となり、1978年10月に2往復、1986年11月1日には1往復に減便された。
1990年3月より独立3列のリクライニングシートを普通車座席としたレガートシート車の14系300番台を連結した。
2000年3月に佐世保乗り入れを廃止、「彗星」と鳥栖まで連結運転されることとなったが、
2005年10月には「彗星」が廃止、連結相手を京都から熊本まで運転されていた「なは」に変更、
2008年3月15日に連結相手の「なは」とともに廃止された。

14系
「あかつき」

はくつる はくつる

上野から青森までを結ぶ寝台特急で、使用客車車両は24系、
牽引機は上野−青森間はEF81型電気機関車であり、経由線区は東北本線である。
1964年10月1日に東北本線初の寝台特急として「はくつる」が誕生、
東北本線全線電化完了に伴い、1968年10月1日には583系による電車化された。
1982年11月15日に東北新幹線の開業により並行在来線優等列車が見直され、
常磐線経由の寝台特急「ゆうづる」が東北本線に変更、名称変更して「はくつる」が2往復化された。
青函トンネル開業に合わせて「北斗星」が誕生、「はくつる」は1往復が減便され1往復体制に戻る。
1993年12月1日には再び583系による2往復化されたが、
1994年12月3日に1往復を臨時列車に格下げ、定期列車を24系25形の客車化した。
2002年10月には臨時列車の「はつかり」が運転を終了、
東北新幹線八戸延伸により同年12月1日に「はくつる」は廃止された。

24系25形
「はくつる」


 トワイライトエクスプレス とわいらいとえくすぷれす

大阪から札幌を結ぶ寝台特急で、使用客車車両は宮原総合運転所所属の24系25形、
牽引機は大阪−青森はEF81型電気機関車、青森−函館間はED79型電気機関車、函館−札幌間はDD51型ディーゼル機関車重連である。
経由線区は東海道本線、湖西線、北陸本線、信越本線、羽越本線、奥羽本線、津軽海峡線、函館本線、室蘭本線、千歳線である。
青函トンネルが開通の翌年、1989年7月21日に団体専用列車として登場、同年12月から臨時列車として寝台券の一般発売が開始された。
原則として始発駅基準で下り大阪発の列車は月曜日、水曜日、金曜日、土曜日、上り札幌発は火曜日、木曜日、土曜日、日曜日と運転日が限定され、
そのため臨時列車扱いとなっているが、多客期には毎日運行されることもある。
下り大阪発札幌行きは1,495.7kmを約22時間、上り札幌発大阪行きは1,508.5kmを約22時間45分かけて運行、JR西日本、JR東日本、JR北海道を跨がる。
食堂車「ダイヤープレヤデス」を連結、サロンカー「サロン・デュ・ノール」を連結し、
シャワールームも完備、また個室のうち「スイート」、「ロイヤル」には部屋にシャワールームを完備している。

24系25形
「トワイライト
エクスプレス」


夢空間 ゆめくうかん 現・廃止

次世代の寝台客車を模索するために1989年に試作された3両編成の豪華寝台客車であり、団体専用や臨時列車に用いられた。
上野と札幌を結ぶ「北斗星」と連結し、「夢空間北斗星」などとして運行された。
客車はオロネ25 901「デラックススリーパー」で、全室二人用A寝台個室の「エクセレントスイート」1室、「スペーリアツイン」2室を有し、
定員6名のために1両を使う豪華さで、この設計思想はのち「カシオペア」に使用されるE26系開発に継承された。
ロビーカーはオハフ25 901「ラウンジカー」で、自動演奏装置付きのピアノやソファーがあり、車掌室も設置されている。
食堂車はオシ25 901「ダイニングカー」で、列車最後尾に連結され、展望室も兼ねている。
2008年3月で営業運転が終了し、現在、ラウンジカーとダイニングカーは新三郷の“ららぽーと新三郷”に静態保存されている。

24系25形
「夢空間」






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